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風のまち・苫前町の風力発電

風力発電にいたるまでの苫前の物語

厄介者の「風」を逆転の発想で活用

厄介者の「風」を凧あげあそびに

苫前町は、北海道の北西部、留萌地方海岸線の中央部に位置し、道内屈指の「強風地帯」です。とくに11月から3月にかけては、地吹雪といわれる地面から殴りつけるような「風」が毎日のように吹き荒れ、町民は屋内に閉じ込められがちな生活を余儀なくされます。町民にとってこの「風」は、まさに地域の「厄介者」でした。しかし、1974年頃から町民の意識に変化が起きます。風の強い日に「凧あげ」でもして楽しもうという声が町民のあいだに持ちあがったのです。

津軽凧を持ち込んだ「やん衆」

津軽凧のポスター

凧あげ大会のポスター

苫前町は、明治初期から「やん衆」といわれるニシン漁業従事者がやって来てニシン番屋に寝泊まりしながら働き、漁期が終わると郷里に帰っていくという状況が続いていました。中には生活の拠点を苫前に移す人も出てきました。そのような人たちの中に、子どものころ「風」に強い津軽凧を揚げて遊んだ人がいました。津軽凧は太い竹で骨が組まれ、厚い和紙を張って肉太で色鮮やかな武者絵などが描かれています。凧の足につけた太い麻縄が空中で風を切って、ブーンとうなり声を立てる迫力満点の凧です。今では冬の最も「風」の強い時期である2月第4週に、子どもから大人まで楽しむ「町民凧あげ大会」が開催されています。厄介者の「風」を逆転の発想で、楽しむことに変えたのです。

なぜ風力発電なのか

はじめに着手したこと

厄介者の「風」を、今度は「遊びではなく、もう少し身になるものはないか」という声が持ちあがり、「風力発電はどうだろう」ということになりました。そのころは、まだ国内での風力発電はあまり評価されていませんでした。風の強さに合った風車を回転させる技術がない状態だったのです。山形県立川町では、外国製の風車を導入して100キロワットと小規模ながらすでに発電をおこなっていました。それなら苫前町でも有望だということになり、私たちが強いと感じている「風」が、実際にはどれくらいの量なのかを調査したいと関係機関に要望しました。その結果、1995年に、通産省の「地域新エネルギービジョン策定事業」として町内2カ所で、翌年には通産省の外郭団体であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の風力発電フィールドテスト事業として近くのグリーンヒルキャンプ場で風況調査をおこない、1年間の月別による風向、風速のデータを得ました。その結果、苫前町は風力発電にきわめて有効な地域であることが実証されたのです。

商業用風力発電所を建設する3つの要素

「風力発電所を建設する3つの要素」1.有効な風がある、2.大きな用地がある、3.送電線との連携
商業用風力発電所を建設するには3つの要素が必要だといわれています。その第1は、有効な風があること。第2は、大きな用地が一括して賃貸または購入できるとともに、用地に付随してアクセス道路が完備されていること。第3は、送電線との連系(系統連結)が速やかにできることです。現在、蓄電技術は開発途上の段階ですから、速やかに送電線に連系して売電することが大事な要素になります。幸い、この地域にはかつて羽幌炭鉱用に架設した66,000ボルトの送電線があることがなによりの好条件となりました。これに加えて北海道電力が1998年、17年間にわたって特別高圧連系20,000ボルト以上の発生電力は1キロワット時あたり11円60銭で購入することを発表しました。また、国も風力発電施設のイニシャルコストの軽減を図るため地方自治体に2分の1、民間企業に3分の1助成をするというメニューができたことが、本格的な取り組みを円滑にしました。

夕陽ヶ丘ウインドファーム「風来望」

日本海に面する風車の写真

夕陽ヶ丘ウインドファーム〜風来望

風況調査データと地理的条件をもとに電力会社と協議し、地方自治体みずから風力発電事業に乗り出すことにしました。夕陽ヶ丘地区周辺には中国海南島から取り寄せた白い砂が売り物の「とままえ夕陽ヶ丘ホワイトビーチ」と遊歩道でつながった「とままえ夕陽ヶ丘オートキャンプ場」があります。ここからは天売・焼尻両島、天気に恵まれると利尻富士も望めます。また、その名のとおり夏は日本海特有の美しい夕日が人びとを感動させる景勝地です。そこへ新たな施設として3基の風車が加わり、一帯を「夕陽ヶ丘ウインドファーム〜風来望」と名づけて、風車公園として整備しました。

「風」が町のパワーになりました

電力利用の模式図
発生電力の利用については、夜間照明として各風車1基あたり4灯のライトアップをしているほか、周辺施設の消費電力にも使い、余った電力は北海道電力に売電しています。この町営施設で発生する電力量は決して大きくありませんが、観光をメインに有効利用していく町のパワーになりました。

本格的な民間企業による風力発電施設

自然と共生「苫前グリーンヒルウインドパーク」

牧場の牛たちと風車の写真

苫前グリーンヒルウインドパーク

苫前町上平地区は、民間企業による、わが国初の本格的な風力発電施設となりました。「苫前グリーンヒルウインドパーク」は、雄大な牧場で馬や牛たちがのんびりと草をはんでいるその上空で巨大な風車のプロペラが力強く回転して、風の力から無尽蔵でクリーンな電気エネルギーを生みだす「未来型エネルギー牧場」というのをキャッチコピーにしています。

風力発電の仕組み

回転はつねに右回り

風車の軸部分のナセル(発電部)には風向計と風速計がついていて、風の方向、風の強さをセンサーで感知し、風が変われば羽根は回転して風の主方向に真っ直ぐに向きます。これがアップウインドタイプといわれるものです。回転はつねに右回りで、羽根の角度が固定のストールタイプと角度が変動するピッチタイプとに大別されます。ナセルには大発電機と小発電機が入っています。風の弱いときに大きな発電機を動かそうとすれば負荷が大きいため、最初は小さな発電機を動かします。ボーナス社製の風車の場合は、1分間に15回転します。そして、ある程度出力が上がってくると大発電機に移行します。この場合の回転数は22回転になります。なぜこれくらいの回転数で発電できるかといえば、ナセルの中に回転数を約60倍に高める増速機が付いているためです。つまり、15回転の60倍なら1,000回転、22回転なら1,500回転になるというシステムです。また、風車は風速3mになると自動的に運転を開始し、風速25mになると強制的に停止し、風車は常にこの幅の中で運転されています。 

新エネルギーの開発

クリーンエネルギーの先進地

風車が立ち並ぶ苫前町航空写真
1997年の地球温暖化防止京都会議で、日本は二酸化炭素を1990年ベースの6%削減を約束しました。しかし、その当時の風力エネルギーの位置づけは弱い状態でした。それは発電コストが高いとか、まだ技術面が十分に確立されていないといった面があったからです。しかし、国の補助制度が発表され、電力会社も電力購入のメニュー化を図ったことなどから、風力発電への取り組みが急速に進展し、その位置づけも高く認識されるようになりました。風力エネルギーは燃料を燃やすことがないので、二酸化炭素(CO2)はもとより、硫黄酸化物や窒素酸化物を排出することのないクリーンなエネルギーです。(株)トーメンパワー苫前の試算によると、石油火力発電に比べるとCO2を年間約2.4万トン、石炭火力発電に比べると約3万トンを削減することになるとしています。私たちは強風地帯という地理的条件と、送電線という産業遺産に恵まれたことを有効な資源として活用することで、北海道はもとより、国内におけるクリーンエネルギーの先進地としての役割を果たそうと思っています。

情報発信元

企画振興課 新エネルギー係

最終更新日:2011年04月25日




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