○苫前ダム管理条例施行規則
平成12年3月17日
規則第11号
(趣旨)
第1条 この規則は、苫前ダム管理条例(平成12年苫前町条例第22号。以下「条例」という。)第8条の規定に基づき、苫前ダムの操作のほか、苫前ダム(以下「ダム」という。)及び苫前貯水池(以下「貯水池」という。)の管理に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規則で「洪水」とは、貯水池への流入量(以下「流入量」という。)が毎秒60立方メートル以上であることをいい、「洪水時」とは、洪水が発生しているときをいう。
2 この規則で「洪水警戒時」とは、留萌地方を対象として大雨警報が発せられ、その他洪水が発生するおそれが大きいと認められるに至つた時から、この警報が解除され、又は注意報以下に切り替えられ、かつ、洪水の発生するおそれが少ないと認められるまでの間で、洪水時を除く間をいう。
(管理主任技術者)
第3条 ダムに、河川法(昭和39年法律第167号。以下「法」という。)第50条第1項に規定する管理主任技術者1名を置く。
2 前項の管理主任技術者は、部下の職員を指揮監督して、法及びこれに基づく命令並びにこの規則の定めるところにより、ダム及び貯水池の管理に関する事務を掌理しなければならない。
(ダム及び貯水池の諸元等)
第4条 ダム及び貯水池の諸元その他これに類するダム及び貯水池の管理上参考となるべき事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) ダム
イ 高さ 34.80メートル
ロ 堤頂の標高 96.30メートル
ハ 越流頂の標高 92.45メートル
ニ 越流堤長 72.00メートル
ホ 放流管ゲート
(イ) 規模及び数
主ゲート 内径0.90メートルのもの1門
副ゲート 高さ0.90メートル、幅0.71メートルのもの1門
副ゲート(呑口ゲート) 内径1.00メートルのもの1門
(ロ) 開閉に係わる開度変化量
主ゲート 1分間につき0.05メートル
副ゲート 1分間につき0.10メートル
ヘ 注水管ゲート
(イ) 規模及び数
主ゲート 内径0.55メートルのもの1門
副ゲート 内径0.80メートルのもの1門
(ロ) 開閉に係わる開度変化量
主ゲート 1分間につき0.05メートル
副ゲート 1分間につき0.10メートル
ト 設計洪水流量 毎秒460立方メートル
(2) 貯水池
イ 集水地域の面積 56.4平方キロメートル
ロ 湛水区域の面積 0.83平方キロメートル
ハ 最大背水距離 4.80キロメートル
ニ 設計洪水位 標高94.52メートル(水位計による表示94.52メートル)
ホ 常時満水位 標高92.45メートル(水位計による表示92.45メートル)
ヘ 最低水位 標高82.25メートル(水位計による表示82.25メートル)
ト 有効貯水容量 5,700キロ立方メートル
(3) 最大注水量等
イ 最大注水量 毎秒1.809立方メートル
(貯留期間及びかんがい期間)
第5条 貯留期間及びかんがい期間は、次のとおりとする。
(1) 貯留期間 4月21日から9月30日まで
(2) かんがい期間 5月11日から9月30日まで
(貯水位の算定方法)
第6条 貯水池の水位(以下「貯水位」という。)は、ダムの堤体に取り付けられた水位計の読みに基づいて算定するものとする。
(流入量の算定方法)
第7条 流入量は、これを算定すべき時を含む一定時間における貯水池の貯水量の増分と当該一定の時間における放流量、洪水吐からの越流量、注水量との合算量を当該一定の時間で除して算定するものとする。
(放流等の開始及び放流量の増減の方法)
第8条 放流管からの放流及び注水管からの注水は、下流の水位の急激な変動を生じないように別図第2に定めるところにより行わなければならない。
(放流管ゲートの操作)
第9条 放流管ゲートは、次の各号のいずれかに該当する場合に操作することができる。
(1) ダムその他貯水池内の施設又は工作物の点検若しくは整備のため必要があるとき。
(2) その他止むを得ない必要があるとき。
(注水管ゲートの操作)
第10条 注水管ゲートは、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、操作することができる。
(1) かんがい期間において注水する必要があるとき。
(2) 前条の規定により必要があるとき。
2 注水管ゲートの操作については、別に定める。
河川名 | 基準地点 | 基準河川流量 |
三毛別川 | 苫前ダム地点 | 0.336m3/s |
古丹別川 | 古丹別川利水基準地点 | 1.185m3/s |
(ダム放流及び越流の際の関係機関に対する通知)
第12条 法第48条の規定により行う関係機関に対する通知は、次に掲げる行為開始の少なくとも1時間前に、別表第1に定めるところにより行うものとする。
(1) 放流管からの放流又は注水管からの注水(以下「ダム放流」という。)により、下流の水位が急激に上昇するおそれがある場合(ダム放流の中途におけるダム放流量の著しい増加を含む。)
(2) ダムの洪水吐からの越流により、下流の水位が急激に上昇するおそれがある場合
2 前項の通知をするときは、ダム放流及び越流の日時のほか、ダム放流量及び越流量の見込みを示して行うものとする。
(放流及び越流の際の一般に周知させるための措置)
第13条 法第48条の規定による一般に周知させるため必要な措置は、ダム地点からマルシメ沢川合流地点までの三毛別川の区間について講ずるものとする。
(1) ダム地点に設置されたスピーカーによる警告にあつては、ダム放流及び越流の開始約15分前に約15分間
(2) ダム地点以外の地点に設置されたスピーカーによる警告にあつては、ダム放流及び越流により当該地点における三毛別川の水位の上昇が開始されると認められる時の約15分前に約15分間
(3) 警報車の拡声機による警告にあつては、前項の区間に含まれる各地点について、ダム放流及び越流により当該地点における三毛別川の水位の上昇が開始されると認められる時の約15分前
3 前条の規定による警報の判断は別に定める。
(1) 操作の理由
(2) 開閉したゲートの名称、各回の開閉を始めた時刻及びこれを終えた時刻並びにこれを終えた時におけるその開度
(3) ゲートの各回の開閉を始めた時及びこれを終えた時における貯水位、流入量、放流量、注水量及び洪水吐からの越流量
(4) ダム放流に係る最大ダム放水量が生じた時刻及びその最大放流量
(5) 注水量の変更(注水の開始及び終了を含む。)があつたときは、その時刻並びにその直後における注水量
2 洪水吐から越流している場合においては、次の各号に掲げる事項を記録しておかなければならない。
(1) 毎時の貯水位及び越流量
(2) 最大越流量が生じた時刻及び最大越流量
(3) 前項第6号に定める事項
(観測及び測定等)
第15条 ダムの管理及び操作に必要な事項については、別表第3に定めるところにより観測又は測定しなければならない。
3 前2項の規定による観測及び測定の結果は、記録しておかなければならない。
(点検及び整備等)
第16条 ダム及び貯水池並びにこれらの管理上必要な機械、器具及び資材は、定期又は適宜にその点検及び整備を行い、常時良好な状態に維持しなければならない。特に洪水又は暴風雨、地震その他これに類する異常な現象でその影響がダム又は貯水池に及ぶものが発生したときは、その後速やかにダム及び貯水池の点検(貯水池付近の土地の形状の変化の観測及びダムに係る地山からにじみ出る水の量と貯水位との関係の検討を含む。)を行い、ダム又は貯水池に関する異常な状態が早期に発見されるようにしなければならない。
(異常かつ重大な状態に関する報告)
第18条 ダム又は貯水池に関する異常かつ重大な状態が発見されたときは、直ちに別表第1(二)項の例によりその旨を通報しなければならない。
(洪水警戒時における措置)
第19条 洪水警戒時においては、次の各号に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 洪水時において、ダム及び貯水池を適切に管理することができる要員を確保すること。
(3) 気象官署が行う気象の観測の成果を的確かつ迅速に収集すること。
(4) ダム管理に関する記録を作成すること。
(5) その他ダム及び貯水池の管理上必要な措置
(操作管理委託料)
第21条 条例第7条の規定により操作管理を委託した場合には、当該委託業務に係る費用を委託料として支払うものとし、その額については、当該年度予算の範囲内において別に定めるものとする。
附則
この規則は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成16年規則第7号)
この規則は、平成16年4月1日から施行する。
附則(平成22年規則第18号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則(平成31年規則第7号)
この規則は、元号を改める政令(平成31年政令第143号)の施行の日(令和元年5月1日)から施行する。
別表第1(第12条第1項、第17条、第18条、第19条、第20条)
通話の相手方 | 通知又は通報の方法 | 通報先電話番号 | ||
名称 | 担当機関の名称 | |||
(一) | 北海道知事 | 留萌土木現業所管理課 | 電話による | 0164―42―1511 |
苫前町長 | 苫前町農林水産課 | 電話による | 01646―4―2211 | |
羽幌警察署長 | 羽幌警察署古丹別駐在所 | 電話による | 01646―5―4110 | |
(二) | 北海道知事 | 留萌土木現業所管理課 | 電話による | 0164―42―1511 |
別表第2(第13条第2項、第19条)
スピーカーの名称 | スピーカーの位置 | スピーカーの構造又は能力 | 摘要 |
苫前ダム | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w | ダム地点 |
苫前警報第1 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
|
苫前警報第2 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
|
苫前警報第3 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
|
苫前警報第4 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
|
苫前警報第5 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
|
苫前警報第6 | 苫前郡苫前町字三渓 | 100w |
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警報車 | 苫前郡苫前町字三渓 |
| (ダム管理所常備) |
別表第3(第15条、第19条)
観測又は測定すべき事項 | 観測又は測定の回数 | 観測施設 | 摘要 | |||
名称 | 位置 | 構造又は能力 | ||||
貯水位及び流入量 | 毎日1回 | 苫前ダム水位観測所 | 苫前郡苫前町字三渓(苫前ダム堤体) | 自記水位計 | 流入量は第9条の規定に基づき算定する。 | |
降水量 | 苫前ダム雨量観測所 | 苫前郡苫前町字三渓(苫前ダム右岸) | 自記雨量計 |
| ||
気象 | 天候 |
| 貯留期間のみ | |||
気温 | ||||||
水象 | 注水量 | |||||
放流量 | ||||||
越流量 | ||||||
ダムの状況 | 変形 | 毎四半期1回 |
| |||
揚圧力 | ||||||
漏水量 | 毎月2回 | |||||
貯水池内及びその末端附近の推砂の状況 | 毎年度1回 |
|
|
※ダム供用開始から時期の定期検査までの変形、揚圧力、漏水量の「観測又は測定の回数」は第2期管理とし、その後は第3期管理とする。(細則参照)
※管理基準値は細則を参照。
別表第4の1(第17条)
Ⅰ) 地震発生直後
a) 地震発生時間と地震計により観測された震度又は気象庁震度階
b) 目視によるダム臨時点検状況確認
Ⅱ) 臨時点検終了後
a) ダム本体
(イ) 漏水の有無、及び漏水量の変化
(ロ) コンクリート表面のひび割れ
(ハ) ダム天端のひび割れ
(ニ) その他
b) 取付部周辺地山及び貯水池周辺地山
(イ) 漏水
(ロ) き裂
(ハ) 崩落
(ニ) 地すべり
別表第5の2(第20条)
年 月 日災害に際しての三毛別川の苫前ダムの操作について
1 概要
2 ダム操作状況について
(1) ゲート操作記録について
(2) ダム管理施設等と記録の信頼度について
(3) ダム操作状況について
3 ダム操作と水文状況について
(1) ダム操作と水文状況について
4 その他の検討事項
(2) 通報・通知の確認について
添付資料
(1) ゲート操作記録
(2) 1/50,000災害平面図
(3) 管理規程
(4) その他
別図第1(第7条第2項)
別図第2(第8条)